今回は木造の9回目です。今回も在来軸組み工法の構造を掘り下げさせていきたいと思います。前回は建物の壁についてご説明いたしました。今回は建物の床の構造をご説明いたします。
根太工法(従来工法)
私たちが生活をするための床を作る骨組みのご説明です。床を構成する方法は、従来的な根太方法と最近主流な根太レス工法の2種類があります。
根太工法とは、根太という角材を使用する方法です。床梁の上に303㎜ピッチ程度で根太を並べ、その上に12㎜程度の合板を貼り、さらにその上から床材(フローリングなど)を貼る構造です。また、横方向の力に強くするために、床梁には火打ちという補強材を突っ張り棒のように取り付けます。梁と梁が直角に交わる部分に、斜めの補強材を入れる事により三角形を構成し、地震などの水平力に対応します。
根太レス工法(剛床工法)
これに対して根太レス工法では根太を使いません。その代わり、床梁などの横架材(910㎜ピッチ)に28㎜程度の厚さの合板を直接打ち付け、その上に床材を貼るという構造です。
厚みが増えたことによって水平方向への力に強くなるため、火打ちも使いません。
各工法の比較
根太レス工法のメリットは、合板を厚くすることで、根太や火打ちなど使用する材料を少なくし、コストの縮減や工期が短縮される事です。また、水平方向の耐力も根太レス工法の方が大きく確保出来るため、地震に強い家になります。
デメリットとして懸念されるのが、床を支える横架材のピッチが910と広くなるため、床のたわみや床鳴りの発生です。また、床下が太鼓のような構造となるため、2階の足音が1階に響きやすい事も挙げられます。重い家具を置く位置にはあらかじめ補強材を入れておいたり、床材の下に遮音マットを敷いたりなど、しっかり見据えた設計が必要になります。
色々な方法を検討すると各々のメリット・デメリットが見えてきますが、最適な手段を選択するのが設計者の腕の見せ所です。今後とも木造についてご紹介をしていきたいと思います。
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