2012年1月5日木曜日

新年に寄せて(1) … 代表取締役 佐藤 昌樹

新年あけましておめでとうございます。
旧年中は、大変多くの皆さまにお世話になりました。本年もよろしくお願いいたします。

昨年は、東日本大震災に翻弄された一年でした。
震災後の応急処置やアドヴァイス、解体などの手配、やっと落ち着いてきたかと思ったら、今度は、数十年ぶりの建設ラッシュで、描けども描けども着工出来ない、やっと着工したら、今度は工事が遅れに遅れる・・と、踏んだり蹴ったりでしたが、そんな中、みんなの意識が少し変わって、コミュニティやまちづくりの機運が盛り上がってきたのは、ちょっと嬉しいことでした。

おかげさまで、困難な状況の中、会社は紆余曲折を経ながらも、何とか売上を伸ばし、受注も増加しております。新たなスタッフの加入もあり、今年は「震災を超えて飛躍の年」にしようかな、と一旦は思いかけましたが、むしろ、その前に、「飛躍のための土台固め」をしようと思っております。今年はテーマは以下の3つです。


1.さらなる業務の拡大を目指して

今まで兎に角、がむしゃらに、一生懸命やってきました。そのこと自体は変わりませんが、少しくらい揺さぶられても、びくともしない強固な組織を志向し、その土台となる体制とシステムを構築しようと思います。強力なメンバーの加入のみならず、現スタッフのスキルアップと、効率的かつ、高いクオリティを発揮できる組織を作ります。

内部だけでなく、構造や設備・照明・音響などの専門協力事務所ネットワークも、拡充したいと思います。現在、協力事務所のネットワークは、北海道から大分まで、広がっています。一部の業務は、海外に発注しているものもあります。もはや、設計においては、「近くにいる」ことはあまり意味が無いことに、なりつつあります。地域にこだわらず、質の高い協力事務所と、強固なネットワークを作っていきます。

以前は、学ぶべき相手は、99%東京に居ました。その構造は大きく転換しつつあります。一昨年から、地方事務所との交流を始めましたが、昨年くらいから、良い感じでまとまってきました。いずれもそれぞれの地域でNo.1か、それを目指す事務所ばかり、お互いに多くの刺激を得、勉強させていただいております。こうした地域No.1事務所を紡ぐネットワークというのは、新たな価値観とパワーを持つ気がしてなりません。このネットワークがさらに大きくなることが、きっと、自分たちの力になると思っています。


2.新たな事業展開へ

以前からやっていたトラブル相談が、少しずつ定着し、動き出してきました。地域密着を掲げるのであれば、その地域の建築に関するすべてに関わるべきであると思っています。この動きは、他の地域の設計事務所でも賛同してくださる方が出てきています。忙しさにかまけて、あまり動かしていませんでしたが、今年はマニュアル整備とHPの拡充をベースに、全国的な動きに拡げる土台作りをします。

以前から海外に興味があったのですが、きっかけを掴めずにいました。昨年、アメリカから単身売り込みに来ていた建築家と出会い、大きな刺激を得ました。ここ数年、海外に行っていないこともあり、今年は必ず海外に行って、新たな事業展開の足掛かりを作ろうと思います。



3.まちづくり活動を本格化

震災で痛めつけられた街を見て、建築家として何をするべきなのか、考えさせられました。もちろん一つ一つの建築の危険度の判定とか、復旧へのお手伝いは当然なのですが、それよりも、もっと将来を見据えて、まちづくりの提言を出来ないかと思い始めました。折しも、震災後、人と人とのつながり、コミュニティの意識が高まっており、私のまちづくりへの提言(今にして思うと我ながら稚拙な内容ですが)を、興味深く聞いて下さった方々がいて、多くの反響を頂いたのと同時に、多くの人が、それぞれのスペシャリティの中で、まちづくりに関与しようとしていることを、知りました。

そのことが契機で、様々なイベントに参加したり、セミナーやパネルディスカッション、あるいは、熱く語る飲み会などに、顔を出させていただき、たくさんの新しい出会いが有りました。これらの出会いの中から、改めて感じたことは、私が出来ること、やるべきことは、「議論に参加し、それを具体的な絵に昇華する」事だと強く認識した一年でした。多くの人が、もやもやと抽象的に持っているイメージを、具体的な絵として提示する、いわば、コミュニティ・アーキテクトとして、まちのあちこちで行われている、単発の活動を大きなうねりにすべく、土台固めをしたいと思っています。

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